5月27日 気付き
試合当日、スターティングメンバーの決定に非常に悩んだ。
前日の夜には今日のスタメンを決めていたのだが、それを揺るがす出来事があったからだ。
しかもそれが一番にチャンスと時間を与えたかった選手の失態だったからこそ大いに悩んだのである。
忘れ物をすることは誰にでもある。
ただ、自己管理が出来ていれば大抵何を忘れたかくらいは気付くはずだ。
それがサッカーに必要な物なら尚のこと気付かなければならない。
しかし彼は一日経った渡されるその時まで自分の何が無いのか、何を忘れたのかも気付くことができなかった。
正直私はがっかりした。そして大きく膨らんでいた期待は一瞬にして萎んでいった。
物を大切にしようと言っているのではなく、気付ける人間になってほしい。
それこそが自己管理であり責任感でもあると思う。
彼を外すべきか使うべきか、最良の選択は何なのか非常に悩んだ。
そして今回は使うことに決めた。
プレーに期待したのではなく、試合の後に全てを振り返り、自分自身を気付かせるためであった。
実際に彼のプレーは、その時その時に頑張るだけであってチームとして効果的なものは殆ど見られることがなかった。
サッカーはサッカーだけ、局面だけを頑張れば上手くなるスポーツではない。
チームスポーツであり、味方と関わり合いながら瞬時に判断をしていかなければならないスポーツ。
そこには「気付き」がとても重要なのである。
何を気付き、どうするかがプレーの表現であり、個性であり、面白さでもある。
当然グランドの外で気付きが無ければ、グランドの中でも気付きは起きない。
ちょっとした味方の動作や相手の変化、風向き、グランドの状況、時間帯など様々なことがグランドの上では
時間とともに変化していっていく。
選手の個性とは、それらのことにどれだけ“気付く”または“感じる”かが差として出てくる始まりなのだと思う。
もともと彼は非常に力のある選手。でも最近は、不完全燃焼を繰り返している。
その苦しみの原因は、こうしたことなのかもしれない。
試合後のミーティングで彼はこの話を真剣に聞いてくれていた。
しっかりと受け止め、自分の胸に向かって気付こう気付かせようと一生懸命に働きかけようとしている。
私は彼に期待している。たったひとつの気付きが人を変えることがある。
彼は必ずこのチームを背負う素晴らしい選手になれる。
私はその変化を長い目で見守ってあげていきたい。