5月30日 グラフの方向
クラブユース5日目。相手は「ジェイム福島」。
4日目を終えた段階で、お互いに勝ち点ゼロ。最終日となったこの試合に全てをかけてくるのはどちらも同じだった。
昨日の1-6での敗戦後、私は楽観的になっていた。
必ず良い試合をするであろうと自信と期待があったからである。
それは相手が同じ勝ち点ゼロだと言うことではなく、自チームの成長に繋がる瞬間を感じ取ったからである。
何がそう感じさせたのかは、この文章の最後に触れたいと思う。
前半、テンポ良くボールを動かそうとグループが関わり合う場面が見られるようになる。
一人ひとりが局面を頑張るのではなく、複数が関わり合った中でボールを動かそうとしたからである。
関わり合い方も良かった。声を掛け合い、情報を共有し、良い判断を引き出しあっている。
実際にプレーしていた選手たちも心強かったことだろう。
グループから全体が関わり合うようになるのにはまだ時間はかかるが、その一歩は確実に踏み出している。
PKからの先制点はそのおまけといったところだ。
後半から時間とともに前半のようなプレーが見られなくなってきた。
毎度のことだが後半10分過ぎあたりから、このチームは極端にパフォーマンスが落ちる。
足が止まってくる時間帯なのである。
例になく今回も同じようにそれは始まり、そうこうしているうちに同点ゴールは決められ、突き放す展開も作り出せなくなっていた。
私はこの瞬間を待っていた。
ここから起きることは、このチームの新しいスタートを生む出来事になると確信していたのである。
足が止まれば、判断も鈍りスピードも落ちてくる。そして何もしなければチームのパフォーマンスは一気に落ちていく。
選手交代によってフレッシュな人間をいれる策もあるが、それは私が操作出来てしまうこと。
こうした状況を、今いる子供たちが「どう感じ」、「どうリアクションしていくか」が成長の糧になるのである。
彼らは頑張った。そして追加点を奪った。しかし、最後に追いつかれた。
私は試合後のミーティングで「自滅」と評価した。
確かに最後の同点弾は、素晴らしいシュートで防ぎようがなかったのかもしれない。
しかし、そういったシーンを作り出してしまったのは自らの自滅に過ぎないと。
どんなチームでもそうだが、パフォーマンスが落ちる時間帯がある。
そこからの過ごし方が非常に重要なのだ。そして、それはチーム力を現している。
落ちていくパフォーマンスのグラフ。そのグラフが再び上がっていくためには何が必要なのか。
確かに彼らは頑張っていた。しかしその頑張りはどういったものであったのだろう。
疲れた体と落ちていく判断力の中で、どうにか今持っているボールを運んでいこうと頑張っていたのではないだろうか。
そうした中で生まれるプレーは、当然のように前半のようにはいかないのである。
ならば何が必要だったのだろう。
なぜあの時君は、そんなに必死に頑張ったのだろう。
私にはこう見えた。良い判断も出来ずに頑張るしかなかったのではないだろうかと。
君に必要なものは何だったのか。それは「助け」ではなかっただろうか。
一人ひとりの力は前半より落ちている。でもそれが結び合えば力は大きくなっていくもの。
落ちていく体力は周りがカバーし合い、落ちていく判断力は周りが呼び合い、落ちていく判断スピードは声を掛け合い、
一人を一人にしないことが必要ではなかったのだろうか。
もし君にあの時助けがあったら、君はどんな判断が出来ていただろう。
あの時の頑張りをもっと良い方向に使えたのかもしれない。
そしてグラフは再び上を向いて進んでいったことだろう。
チームのグラフがあるように、一人ひとりのグラフもある。
それはそれぞれに浮き沈みがあり、一つとして同じものはない。小さい浮き沈みもあれば、極端に落ちていくものもある。
誰かのグラフが下を向いたとき、誰かのグラフが上を向いたときだって、君に出来ることはたくさんあるだろう。
私は昨日の敗戦後から、このチームのグラフが底をついたと感じていた。
あとは浮き沈みもしながら上っていくだけだなと思ったのである。
そして、また今日もグラフは上を向き出した。
(クラブユース大会総括)