8月9日 槍(ヤリ)の逆襲

9番のエースナンバーを背負っている彼の名は「ヤリ」。
そこら中に手当たり次第、槍を放つことで有名だった。
時に彼は、その槍を放つだけでは満足せず、自らの負傷も省みない「クラッシャー」としての一面をも見せる。
とても危険であり、不器用な選手だった。

以前彼には「槍の磨き方」について話したときがある。
彼はその不器用さゆえに、磨き方を知らずにいたし、間違ってもいた。
“投げれば投げるほど磨かれていくもの”と信じて疑わなかった彼は当初、まずは槍そのものを磨き上げることが優先という私の提案に抵抗を覚えていた。
不器用さゆえに、どれだけ時間を掛けて磨いても一向に光を増さない槍に逃げ出すこともあった。
そこには、うまくいかない恥ずかしさが彼の中にあったのだと思う。

不器用だと認めたくない自分、出来ないと認めたくない自分、不得意だと思いたくない自分、今の自分をさらけ出したくない自分、そして、周りの目が気になる自分。
あの頃の彼は、「自分に向き合う」ことをとても恐がっていた。


彼は今、私の想像を遥かに超える成長をしている。
私は何もしていない。
ただひとつ、自分のプレーにこだわりを持てと伝えるだけである。

光は輝きに変わりつつある。

更新日 : 2007年8月 9日

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